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オトシデスカラ [社寺・和菓子]

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↑東寺、向こうに見える塔は、五重塔。

父親と病院に行くとよくドクターに「もうお歳ですから・・・」と言われる。
どの科でも言われる。
あの人たちは、よくもまあ人の気持ちを萎えさせることを面と向かっていいますね。
もちろん、94歳にもなれば老衰でいつ死んでもOKみたいな内容を言う。
横で聞いていて、ムカッとします。

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↑宝蔵

もちろん、ドクターは事実を言っている。嘘をついていない。
でもそれがどれだけ人を傷つけているか、理解していない。
「もう諦めなさい」「そんなものです」
理科系の人は、どうしてそういうものの言い方をするのかなぁ。
きっと仕事が忙しくてウンザリしているのもあるのでしょう。

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特に若いドクターは、冷たい言い方をする。
父親が眼科のドクターに「視力は高齢によるもの、諦めなさい」というような内容を言われ、さすがに父親も怒っていた。
私は「だから、なにかあったら私を呼べと言ったでしょ」診察室で文句を言ってやったのに。なんなら一暴れしたのに。声の大きい京男さんを起こらしたら、エライことになるかも。

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↑小野道風ゆかりの柳。あくまで「伝」

母親の時は、一暴れしました。
理不尽なことは許せない。なんならマスゴミか医療訴訟専門弁護士を差し向けるというのをしてあげようかと思った。
父親が入院していた時の医療的不正事件もあったな。あの時、病室で父親に「訴訟するか?絶対勝てると思うけど」と言ったら、「止めて」と言った。もう忘れているかな?

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私も皮膚科で「これは老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)です」と言われた。老人性なんて言われたら、気分が悪いですよね。
まあ、液体窒素で焼いて処理してもらいましたけど。
最近では、なれて「先生、ミディアムレアで焼いて」と私の方からいいます。

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↑長久堂「宇治の雲」

これが文化芸術系なら老人はもうだめなんて言わない。
能の世阿弥の本に「初心忘るべからず」と言うのがあります。
引用させてもらいます。

「ぜひ初心忘るべからず」
若い時に失敗や苦労した結果身につけた芸は、常に忘れてはならない。それは、後々の成功の糧になる。若い頃の初心を忘れては、能を上達していく過程を自然に身に付けることが出来ず、先々上達することはとうてい無理というものだ。だから、生涯、初心を忘れてはならない。

「時々の初心忘るべからず」
歳とともに、その時々に積み重ねていくものを、「時々の初心」という。若い頃から、最盛期を経て、老年に至るまで、その時々にあった演じ方をすることが大切だ。その時々の演技をその場限りで忘れてしまっては、次に演ずる時に、身についたものは何も残らない。過去に演じた一つひとつの風体を、全部身につけておけば、年月を経れば、全てに味がでるものだ。

「老後の初心忘るべからず」
老齢期には老齢期にあった芸風を身につけることが「老後の初心」である。老後になっても、初めて遭遇し、対応しなければならない試練がある。歳をとったからといって、「もういい」ということではなく、其の都度、初めて習うことを乗り越えなければならない。これを、「老後の初心」という。

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このように、「初心忘るべからず」とは、それまで経験したことがないことに対して、自分の未熟さを受け入れながら、その新しい事態に挑戦していく心構え、その姿を言っているのです。その姿を忘れなければ、中年になっても、老年になっても、新しい試練に向かっていくことができる。失敗を身につけよ、ということなのです。
今の社会でも、さまざまな人生のステージ(段階)で、未体験のことへ踏み込んでいくことが求められます。世阿弥の言によれば、「老いる」こと自体もまた、未経験なことなのです。そして、そういう時こそが「初心」に立つ時です。それは、不安と恐れではなく、人生へのチャレンジなのです。

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↑備中かのこ豆、栗入り

こういう考え方をすれば高齢者でも若い世代に互角に付き合える。
体力は、劣るけど、創意工夫をすれば、味わい深い芸が出てくる。
ドクターもこういうことを基本に考え、どうしたら劣った体力を工夫で補う工夫、技術を研究しアドバイスして欲しい。
生涯現役で幸せに生きる知恵をいっしょに考えて欲しいと思います。
医療教育のベースにそういう精神を教えて欲しい。
確かにドクターや医療関係の人たちは過酷な仕事をしておられる。
そんな余裕はないといわれそうだけど、自分もまた老人になって行くのです。
医療システムを患者もドクターも嬉しくなるように知恵をだして欲しい。
でないとこれから病院でも高齢ドクターが高齢者を診察する時代がくる。
いままでもやり方では、破綻するでしょう。

そんなことを考えておりました。

和菓子

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  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
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