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下駄足駄、そして釈迦阿弥陀 [社寺]

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本日は、東寺の風景です。
東寺の境内を歩きながら「十住心論(じゅうじゅうしんろん)」について考えていた。
二十数前に教えてもらったことです。
その時は、はっきりいって聞き逃していた。

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「十住心論」は、正確には『秘密曼陀羅十住心論』といい、空海の代表的著述。
人間の心を10段階に分け、解説しているのです。
ちょっとだけ書いてみましょうね。

 1.異生羝羊心(いしょうていようしん)
羝羊とは牡羊のこと。食欲と性欲、物質的な欲望に支配され、本能のままに生きている状態。いまの世界はこの状態。

 2.愚童持斎心(ぐどうじさいしん)
愚童、なにも知らない子供の状態。「このまま生きていると、うまく行かないんじゃないか」と思い(仏性に気づいた状態)、できるだけいいことしょうと思う状態。

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 3.嬰童無畏心(ようどうむいしん)
嬰童(みどりご)とは、生まれたての赤ん坊。母親の胸に抱かれる。つまりある枠の内部にいて頼る状態。教祖や宗教、リーダーに従っている状態。

 4.唯蘊無我心(ゆいうんむがしん)
蘊とは、人間を成り立たせている要素という意味で、その身心は、色・受・想・行・識の五蘊が、内的外的条件によって仮りに集合したものであって、永遠不滅の自我というものは実在していないという釈尊の教えを聞いた(知った)という段階。

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 5.抜業因種心(ばつごういんしゅしん)
「業」と「因」の種を抜く心。人間は、この世に出てくる前に「自分で」人生設計をして生まれて来る。この設計を「業」という。その「業」と、苦を生起する因子(この世における、自分の精神活動や外的要因)の種に気づき、そららの要素を抜く努力をしよと思う心。人間は、この世で「この部分を体験したい」と設計し、時期がくれば因が発動する。うまく本来の基本設計に沿うように、不必要な因を抜く必要があるのでしょうね。また抜く具体的な訓練をはじめる。

 6.他縁大乗心(たえんだいじょうしん)
5で自分が失敗した経験を他者と共有しようとする心。この状態で自分の「業」と「因」が処理できていないと自分のまわりに迷惑をかける状態となる。

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 7.覚心不生心(かくしんふしょうしん)
「覚心」の心の意味は、あなたの「眞我」「本質」ということです。この自分の「眞我」に目覚めると、輪廻転生のサイクルから抜け出せる可能性がでてくる。
「下駄足駄※ つくりかへれば 釈迦阿弥陀」という俳句があります。同じ木でも足に踏まれる履き物と、人に拝まれる仏像と大変な相違があります。この相違は何をつくるかという心によるものです。しかし下駄足駄もまた、仏像と大変な相違があります。この相違は何をつくるかという心によるものです。しかし下駄足駄もまた、仏像と同じように大切なものです。いや場合によっては仏像より大切なこともあるかもしれません。それもまた心によるという例えの意味がこの句には含まれている。
※下駄/歯が高くないもの。
※足駄/下駄の歯の高いものをいう。雨天時のぬかるみや便所などで着物が汚れないように履いた。

 8.一道無為心(いちどうむいしん)
ここからは、言葉で表しにくい。禅宗でいう「不立文字(ふりゅうもんじ)」というやつです。一道すなわち天地自然の理がよくわかって体得されると、無為、すなわち、はからい心がなくても、何事も意のままになる心の段階。

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 9.極無自性心(ごくむじしょうしん)
ここで「無」とは、何も無いという意味ではない、無尽蔵の無、すべてを生み出す根源という意味で、現代風に表現するならば、統一場とでもいうしかないでしょう。これが本当に理解できたら『ヒマラヤ聖者の生活探求』に登場する大師がたのようなことも可能でしょう。

10.秘密荘厳心(ひみつしょうごんしん)
この心は、不立文字の世界。自分で体感するしかない。そんなこと、肉体をもって判るのかどうかわかりません。二元論(善と悪、プラスとマイナス、過去と未来、美と醜)を越えて、光り輝く状態なのかも。光輝くというのも無いのか。
その状態がわかればまた「異生羝羊心」に戻るのも一興かも。

というのを境内を歩きながらまとめました。
ちょっと頭がすっきりしたような、しないような・・・。
京男の観じたことなので、間違っているかもしれません。
取りあえず記録しておきます。
漢字がチャンと表示するかな・・・。
ネットというのも不便なものですね。

過去の記事をご覧になりたい方はこちらからどうぞ↓
※「京男雑記帳1」へは、この文字列をクリックすると移動します

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タグ:京都 社寺
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コメント 8

guran

おはようございます!
東寺へ行っても漠然と見ているだけではいけませんね^^:

by guran (2012-11-01 06:52) 

京男

>guranさん、おはようございます
静かな時に行くと、空海さんの思考の足跡みたいなものが聞こえる時があります。わずか1189年ぐらいの時間ですから、いろんなところに染みこんでいる。今日の記事はそのメモ的なんです。読んでも面白くないですよね。昔にくらべると格段に理解が進んでいるのです。次回は「虚空蔵求聞持法」テーマで行ってみます。脳出血の時、自分でひたすらやっていた方法なんですよ。おかげでかなり回復できたしね。
by 京男 (2012-11-01 07:48) 

keiko

おはようございます。
難しいです。
同じ木から下駄も仏像も…確かにそうですね。下駄も無ければ困りますけど。
普段気が付かないところにそう言うことって沢山ありそうな気がします。
私は生まれ来る前にどんな事を設計し生まれて来たのでしょう?

11月に入りましたね。今年も後2ヶ月ですね。
by keiko (2012-11-01 08:43) 

京男

>keikoさん、おはようございます。
こういう記事のコメントって難しいですよね。
意識の進化の地図なんです。禅宗の「十牛図」も同じかな。
自分なりに解説してみたんです。あとは方法は伝え難いですけど。
「下駄足駄 つくりかへれば 釈迦阿弥陀」は、大事なことを伝えていますね。
11月、ものを考えるにはいい季節です。
by 京男 (2012-11-01 09:00) 

ゴーパ1号

おはようございます。
空気もひんやりして来て、頭もすっきりすればいいのですが
今、ぐるぐるしてます。
はやく落ち着こう。

by ゴーパ1号 (2012-11-01 09:18) 

京男

>ゴーパ1号さん、おはようございます
ものを考えるにはいい気温です。そろそろ手が凍えてきました。手袋をしているんです。暑がりなのに手は凍えるし。ゴーパ1号さん、指先は冷えません?
by 京男 (2012-11-01 10:16) 

ソニックマイヅル

ソニーの勉強会で京都行く時は必ず東寺を通ります。観光でまわりたいです。^^;
by ソニックマイヅル (2012-11-01 15:22) 

京男

>ソニックマイヅルさん、こんばんは。
たまにはボーッとこういう境内を散策するのもいいかもしれません。
観光って「光を観る」って書きますよね。この光は、きっと自分の内側の光んだと思います。
by 京男 (2012-11-01 19:54) 

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